こんにちは。
徳島県の青果市場で70年以上、果物の品質と向き合っている武田青果 3代目メンバーのミツヨシです。
ここでは私の持ってる桃の豆知識を共有したいと思います。
プロが教える美味しい桃の選び方!
ポイントは梅雨明けに出荷される品種
このページの目次
美味しいのは梅雨明けに出荷される桃
夏を代表するフルーツといえば桃。桃は品種によって味や特徴が異なります。それらは大きく白鳳系(早生品種)、白桃系(中生品種)、黄金桃系(晩生品種)に分類されていて、基本的には、早生品種の方が果肉がやわらかく果汁が豊富で、晩生品種の方が果肉が閉まって甘さが強い傾向にあります。
中でも注目は、7月下旬から9月上旬に収獲される白鳳系・白桃系の品種。品種は「あかつき」が代表的で、長年にわたり愛されている品種です。特徴としては、肉質がしっとりしていて、甘味が強いってとこでしょうか。
結論から申し上げると、桃は雨の影響で糖度が大きく左右されるため、梅雨明けに出荷される品種の桃が糖度が高くなる傾向にあります。すなわち、各産地 7月下旬から9月上旬に旬を迎える桃の品種が糖度が高くなると言って過言ではないでしょう。
時期ごとに移り変わる代表的な桃の品種を紹介
桃の品種は多岐にわたり、それぞれ独自の特徴を持っています。ここではまず、時期ごとに移り変わる主要品種の特徴を紹介してみます。
🍒豊洲市場ドットコム🍣 on Twitter: “#桃の家系図
白鳳系(早生品種)
白鳳系はシーズン初めの頃の品種グループで、瑞々しくジューシーな食感が特徴の品種です。以下に白鳳系の代表的な品種を挙げてみます。
日川白鳳
日川白鳳(ひかわはくほう)は早生品種の一つで、シーズン初めの代表的な桃になります。日川白鳳の特徴は以下の通りです。
- 果肉と風味:
果肉は白く非常にジューシー。まろやかな甘みと少ない酸味が特徴。- 大きさと形状:
日川白鳳は中玉サイズの桃で、丸い形状。果皮は全体的に赤く色付きやすく、熟すとやや黒ずんだ赤色になる。- 収穫時期:
一般的には7月初旬から7月中旬にかけて収穫。日川白鳳は、桃の早生品種の代表的なものとしてとして認知されており、その甘さと食感が人気です。全国的にも広く栽培されおり、市場に多く出回る早生品種になります。
白鳳
白鳳(はくほう)は、昔からある品種の一つで、この白鳳から様々な品種が生み出されています。白鳳の特徴は以下の通りです。
- 果肉と風味:
果肉は白く、緻密で繊維が少ない。口に入れるとジューシーな味わいが広がります。甘みは豊かで、酸味は比較的控えめ。- 大きさと形状:
白鳳は中程度から大きめサイズの桃で、丸い形状。果皮は鮮紅色になり外観的にも美しい。- 収穫時期:
一般的には7月中旬から8月上旬にかけて収穫。白鳳は、白鳳系の親的品種として代表的な存在であり、その甘さと食感の良さから人気があります。全国的にも広く栽培されており、桃のシーズンになると多くの場所で見かける品種になります。
あかつき
あかつきは、シーズン中ごろの桃の品種で、白鳳系と白桃系の良いとこどりが特徴の品種です。あかつきの特徴は以下の通りです。
- 果肉と風味:
果肉は全体的に桃色っぽく、非常になめらかな食感。甘味が豊かで追熟した時にはジューシーな味わいが楽しめます。実際の糖度も高くなる品種です。- 大きさと形状:
あかつきは中程度から大きめのサイズ桃で、ふっくらとした楕円形。- 収穫時期:
一般的には7月中旬から8月中旬にかけて収穫。あかつきは非常に人気のある桃の品種であり、その甘さと風味が特徴です。なめらかな食感と濃厚な甘さが楽しめるため、生食やデザートに最適。あかつきを使ったケーキやパフェなどのスイーツにも利用されることが多い品種になります。付け加えると、追熟前にはしっかりとした硬さがあるため贈答品にも最適です。
白桃系(中生品種)
白桃系は果肉が白色である桃の品種グループで、一般的に酸味が少なく強い甘みが特徴の品種です。近年は白桃系にもさまざまな品種が存在し、白桃系はコレっていう特徴を表現しにくくなってます。以下に白桃系の代表的な品種を挙げてみます。
清水白桃
清水白桃(しみずはくとう)は、元祖白桃とされる品種。清水白桃の特徴は以下の通りです。
- 果皮と風味:
清水白桃は、白色の果皮を持つ白桃系の品種。果肉はやわらかく、ジューシーでありながらも桃らしい食感があります。甘味が豊かで、バランスの取れた味わいが特徴です。また清水白桃は、上品で甘い香りがあり桃独特の風味も楽しむことができます。- 大きさと形状:
清水白桃は中玉サイズの桃で、円形やや扁平な形状。- 収穫時期:
原産地岡山県産の清水白桃は、一般的に7月下旬から8月上旬にかけて収穫。清水白桃は、瑞々しい果肉と甘さ・香りの豊かさが特徴であり、人気があります。桃の中でも高級な品種とされており、贈答用や特別な場での食べ物としても重宝されています。地域によっても仕上げの色づけは異なりますが、一般的に清水白桃は桃の美味しい品種の一つとして知られています。
浅間白桃
浅間白桃(あさまはくとう)は、古くからある白桃系の品種です。浅間白桃の特徴は以下の通りです。
- 果皮と風味:
浅間白桃は、熟すと赤黒く染まる果皮を持つ白桃の品種。一部に霜降り肉のような赤い斑点やストライプが見られることもあります。
豊な甘さと酸味のバランスが取れており、ジューシーで爽やかな味わいが特徴。追熟したら果肉は柔らかく、口の中でとろけるような食感を味わうことができます。- 大きさと形状:
浅間白桃は大きめサイズの桃で、果汁の詰まった実はずっしり重くキレイな丸形。- 収穫時期:
一般的には8月上旬から8月下旬にかけて収穫。浅間白桃は、美味しさや品質が高く評価されています。瑞々しい果肉と豊かな香りを楽しむことができるため、桃好きな方にとっては魅力的な品種です。ただし生産するのが難しく、最近では生産量が少なくなった希少価値のある桃になります。
川中島白桃
川中島白桃(かわなかじまはくとう)は、シーズン後半戦の品種の一つです。川中島白桃の特徴は以下の通りです。
- 果肉と風味:
川中島白桃の果肉はほんのり黄色、非常に強い甘みがあります。果肉はかたくしっかりとした食感。追熟した際には独特の芳醇な香りが広がります。- 大きさと形状:
かなりの大きめサイズの桃で、丸い形状。果実は一つ一つが重みがあり、果肉が詰まっています。- 収穫時期:
一般的には8月中旬から9月初旬にかけて収穫。川中島白桃は、シーズン後半戦の品種として その甘さと風味が評価されています。晩生品種では一番メジャーなものになります。
黄金桃系(晩生品種)
黄金系は果肉が黄色である桃の品種グループを指します。以下に黄金桃系の代表的な品種を挙げてみます。
黄金桃
黄金桃(おうごんとう)は、黄金系の中で最もメジャーな品種の一つで、黄金色の果皮が特徴です。黄金桃の特徴は以下の通りです。
- 果皮と風味:
黄金桃は、名前の通り黄金色の果皮を持っています。果肉は黄色で、しっとりとした食感があり甘味が豊か。追熟したものは桃特有の甘い香りを持ち、マンゴーやパパイヤののうな南国フルーツに似た味わいがあります。- 大きさと形状:
中程度から大きめのサイズの桃で、丸い形状。- 収穫時期:
一般的には9月初旬から9月下旬にかけて収穫。黄金桃は、その鮮やかな色合いと甘みのある果肉が魅力であり、生食やデザートとして楽しまれることが多いです。また、ジャムやパイなどの加工品にも利用されることがあります。
実際に梅雨明けに出荷される桃の産地と品種は?
実際に梅雨明けに出荷される桃の美味しい産地・品種は気になるところですよね。
以下に個人的おススメの産地をいくつか紹介してみます。
- 徳島県 :梅雨明けに旬を迎える「あかつき」はおススメ。
- 岡山県・山梨県:梅雨明けに旬を迎える 岡山「清水白桃」、山梨「浅間白桃」はおススメ。
- 長野県(信州): 8月以降に旬を迎える「あかつき」「なつっこ」はおススメ。
- 福島県 :8月後半に旬を迎える ちょっと硬いめの赤系 晩生品種はおススメ。
これらの地域は桃の栽培に適した気候や土壌条件を備えており、丁寧な栽培技術によって美味しい桃が生産されています。ただし、桃の美味しさは品種や栽培方法、収穫時期などにも影響されるため、個々の農家や生産者のこだわりが重要な要素となります。地域によっても異なる特徴や風味があるため、自分の好みに合った桃を見つけるためには、様々な産地の桃を試してみることをおススメします。
近年、地球温暖化の影響もあり9月の平均気温が高い傾向にあります。人は「気温が高い=桃が食べたくなる」ので、自分に合った9月の桃を探してみても いいね! かもしれません。
下の写真は個人的な おススメの1つ、梅雨が明けた時期からの収獲になる長野県産の「あかつき」「なつっこ」です。
徳島市場にも出荷され、長年愛されている商品なのでチェックしてみてください。
7月下旬頃より、徳島 KYOEI にて販売予定。スーパー・キョーエイ*KYOEI – 徳島の食品スーパー・キョーエイ (kyoei-group.co.jp)
桃は食べ方も重要なポイント
品種の旬や特徴を把握しても、桃の食べ方を失敗したら全てが台無しになってしまします。 なぜなら、桃は収獲後 常温で置くことにより 追熟(甘味が増す)果物だからです。 実際のところ糖度が上がるわけではありませんが、常温で寝かすことによって桃から自然に出るエチレン(食物ホルモン)で桃が軟化しプルプル食感の桃に変わります。加えて人間の舌はプルプル食感になった桃を食べることで、桃が甘いと錯覚します。(一般的に言う食味ってやつです)
逆に気を付けないといけないのは、桃をすぐに冷蔵庫に入れてしまうと追熟がかからず 実が硬い状態のまま劣化がすすんでしまう可能性が高いことですかね。
桃を上手に追熟させるには、以下のポイントを参考にしてください。
- 部屋の温度と湿度の調整:
桃を追熟させるためには、部屋の温度と湿度を適切に調整する必要があります。桃の追熟には温度が重要であり、一般的に室温(20〜25℃程度)が適しています。湿度は高すぎず、通気性の良い環境が良いです。 - 一緒に熟した果物と一緒に置く:
エチレンガスと呼ばれる成熟促進物質を放出する果物と一緒に置くことで、追熟を促すことができます。代表的なエチレンを放出する果物としては、バナナやリンゴがあります。桃をバナナやリンゴと一緒に密閉されていない容器に入れておくと、桃が追熟しやすくなります。 - 単独で包んでおく:
桃を追熟させるためには、桃を個別に紙や新聞紙で包んでおく方法もあります。包んだ果物は一緒に密閉されていない容器に入れておき、追熟を待ちます。包んだ紙は桃が余分な水分を吸い取るのを助け、追熟を促す役割を果たします。 - 追熟の経過を確認:
桃が追熟する期間は個体によって異なります。追熟の経過を確認するため、包んでいる桃の状態や触感、香りを定期的にチェックしてください。桃が柔らかくなり、甘さや香りが増してきたら、追熟が進んでいるサインです。
上記の手順を実践することで、桃を追熟させることができます。ただし、桃の状態や環境によって結果は異なることがありますので、個々の状況に応じて試してみてください。
旬の桃を美味しくいただくためには
旬の桃を美味しくいただくためには、まずは8月の白鳳系・白桃系の品種。さらに言うと、桃の品種によって異なる基本的な特徴を把握し、旬の一番良い状態を見極め、追熟した状態の桃をちょっと冷やして食べることがポイントになります。
武田青果では、桃の品種の特徴・産地のからの情報・桃1個1個の状態を把握することで、お客様の求める様々な要望にお応えできるよう日々努力しています。 私どもの知識と経験が、くたものと絆がる人たちを笑顔にできれば幸いです。
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